作曲というと、とても難しいイメージがある方も多いと思います。
シンガーソングライターやアレンジャー、クラシック音楽の作曲家や映画音楽作曲家など、専門の勉強を経て得られる特殊能力のように思われているでしょう。
確かに、作曲するためにはノウハウを知る必要があります。
しかし、それはとんでもなく難しいことではありません。
例えば、料理のイロハを学ぶように勉強すれば、誰でも間違いなく作曲できるようになります。
その曲が素晴らしいものであるかどうか、出来栄えに関しては、センスや経験値がものを言いますが、とにかく物理的には誰でも作曲はできます。
自分が生み出した曲には愛情も湧きますし、自分が作った曲を自分で演奏できたら楽しいですよね。
そこで今回は、ピアノ初心者でも簡単に作曲できる方法を解説していきます。
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まず、曲のボリュームと構成と拍子を決める
さて、曲を作るにあたり、まずやっておいた方が良いことは、上手くまとめるために先に曲の枠(ボリューム、構成、拍子)をある程度決めてしまうことです。
勿論、何もないところから突然メロディーが浮んだら、ひとまずそのメロディーを忘れないように譜面に起こしたり録音したりしておくのが良いでしょう。
折角良いメロディーを思いついても「えぇっと、曲の構成は・・・」などと考えていたら、そのメロディーは忘却の彼方へ行ってしまいますから。
そうでない場合は、まず、曲のボリュームと構成と拍子を決めます。
ボリューム
大体どのくらいの長さの曲に仕上げるかイメージします。
構成
ボリュームによって、内容の構成を決めていきます。
よくあるポピュラー楽曲だと
「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→Aメロ→Bメロ→サビ→Cメロ→サビ→アウトロ」のような感じです。
この内容で4,5分のものが多くなります。
クラシックですと、もっと多様な構成があります。
特に決まりがあるわけではないのですが、印象に残る楽曲には、必ずといって良いほど「繰り返し」が用いられていますので、参考にしてみてください。
拍子
拍子とは、ビート感に近いようなイメージです。
このように、拍子を決めると、1小節の中に入る事のできる音符の数が変わってきます。
また、どのようなテンポ感で曲が進んでいくかも変わります。
分かりやすく種別を分類すると「マーチは4拍子や2拍子、ワルツは3拍子」と覚えておくと良いでしょう。
ブンチャッチャッチャ、ブンチャッチャッチャは4拍子。
ブンチャ、ブンチャ、ブンチャ、ブンチャは2拍子。
ブンチャッチャ、ブンチャッチャは3拍子です。
この3つを決めると、曲の大枠が決まります。
コードを学ぶ・曲のコードを決める(まずは基本的なコード)
コードを学ぶ
続いてやる事は、コードを決めることです。
コードには、とんでもない数の種類がありますが、ここでは、白い鍵盤(白鍵)だけで弾ける、最も基本的なコードを種類だけご紹介します。
この8種類のコードだけでも、結構しっかりした曲を作る事ができます。
8種類のコードの構成音
C:ド・ミ・ソ
Dm:レ・ファ・ラ
Em:ミ・ソ・シ
F:ファ・ラ・ド
G:ソ・シ・レ
G7:ソ・シ・レ・ファ
Am:ラ・ド・ミ
Bm:シ・レ・ファ
この、構成音を覚えておく事が大切です。
構成音を使えば、その順番に決まりはありませんので、例えばCコードの構成音「ド・ミ・ソ」を「ソ・ド・ミ」と入れ替えてもOKです。
大きなアルファベットの横に「m」と入っているのは「マイナー」を意味し、これは「暗い響きのコード」という事を意味しています。
切ない曲やダークな雰囲気を出したい時に積極的に取り入れると効果が高まります。
また、明るい曲の中で用いる事で、適度に刺し色のような役目を果たして曲全体のイメージを引き締めてくれます。
今回はA~Gのうち、Gだけ、「Gコード」と「G7コード」の2種類のコードを紹介しました。
Gコードは「ソ・シ・レ」なのに対してG7は「ソ・シ・レ・ファ」になります。
「ファ」が入るかどうかが最大の違いになりますが、このG7コードは、結構使い勝手が良いので、紹介しました。
曲のコードを決める・伴奏を作曲
いよいよコードを使って伴奏の枠組みを考えていきます。
基本的には音楽に絶対のルールはないので、自由に組み合わせてOKです。
ただし、1つ守っておいた方が良いポイントがあります。
それは、「Cで始まり、Cで終わる」こと。
最初の、最も基本となるコードで始まり、終わる事で曲が安定します。
ひとつ、最も無難で、ありがちなコード進行の例をご紹介します。
C C F G C C G C
こんなコードです。Cが多いですね。
これには理由があります。
Cがこの曲の中心になるコードだからです。
そして、このCコードと相性の良いコードがあります。
それが、GとG7とFです。
GとG7は「次にCに行きたい!」と思わせる効果があります。
ですから、最後にCで終わる直前に、このGもしくはG7のコードを使うと、最後Cで終わった時に「終わりました!」という感じが強く出るのです。
Fは「次にCに行きたい!」という効果と「次にG(あるいはG7)に行きたい!」という効果を両方併せ持っています。
ずっとCばかりだと退屈してしまう、という時には、このFコードを活用すると良いでしょう。
他の、Dm、Em、Am、Bmは基本的にはあまり登場しません。
これらは全て「m」が付いていて、多用すると曲そのものがとても暗い雰囲気になってしまうからです。
また、Cを基調とした曲を作る上では少々クセが強いため、曲の中では、せいぜい1,2回登場するかしないかにとどめておくのが良いでしょう。
「でも、暗い曲を作りたい」
という方も多いと思います。
そんな方は、Cではなく「Am」を基調とした曲作りをおすすめします。
こちらに、コードについて分かりやすく解説してあるサイトを紹介しておきますので参考にしてみましょう。
【コード進行の作曲法 LV.3】「3つのコードの組み合わせ」ゼロからのスタート編(全8回)
メロディーの作曲
コードの構成音をピックアップして組み合わせてメロディーを作る
ここにきて、やっとメロディーの作曲です。
いきなりメロディーから作るのが作曲ではないのです。
(もちろんメロディーから思いつき、それにコードをつける手法もありますが、それだけではないのです)
実は、作曲は曲のボリューム、構成、拍子、コードを先に決めて枠を作ってあげてからの方が、スムーズにメロディーも作る事ができるという事が多いのです。
「自由に作りたい」という意見もあるかと思いますが、何も無い状態からメロディーを生み出すよりも、背景がある程度カッチリ用意されている方がイメージも湧きやすいのです。
こんなかんじで、メロディーをつけていきます。
基本的にはコードの構成音を使いますが、必ずしもコードの構成音だけで作るわけではないのです。
2小節目の「ドーミファソーミ」の「ファ」はCコードの構成音ではありませんよね?
でも、ミとソを繋ぐ階段としての役割があるため、この「ファ」のような構成音ではない音は、大きな違和感無く、曲に溶け込む事ができるのです。
これは4小節目の「シラシドレミレ」の「ラ」と「ド」においても同じ事が言えます。
この、構成音以外の音を使う時に気をつけたいのが「なるべく小節の最初の音には用いない」ことです。
これも絶対ではなく「なるべく」なので、意識する程度で大丈夫です。
作曲は自由ですから、何をやっても良いのです。
ただ、「した方が良い」ことや「しない方が望ましい」ことはあります。
それらを守らないと、ヘンテコな曲になってしまったり、聴いていて不快な響きになってしまうのです。
作っていて「何かしっくりこない」と思ったら、基本的なルールを思い出して調整してみましょう。
伴奏が和音である必要はないし、メロディーが単音である必要もない
例として、コード伴奏は複数の音を同時に鳴らす「和音」で、メロディーは1つの音符だけ弾く「単音」で曲を作ってみましたが、これにもルールはありません。
伴奏が単音でも、メロディーが和音でも、自由です。
こんな風にシンプルな曲にすれば、自分で演奏するのも難しくないですよね。
自分で決めたコードの構成音を基本に用いて曲を作っていけば、バランスの取れた曲が生まれるはずです。
オススメの作曲ハウツー本
最後に、初心者にも分かりやすい、作曲のハウツー本を紹介します。
8小節から始める曲作りの方法50 (CD付き)
まさに、作曲初心者の入口には最適な本です。
鼻歌から作る、コードから作る、など、作曲へのアプローチパターンもいくつか紹介されています。
なによりもCDつきというのは有り難いですね。
音楽に「実際の音」はとても大切な情報なので、CDがついているだけで、理解度がぐっと上がるはずです。
君も今日から作曲家 誰にでもできる作曲講座
少し作曲の事を分かってきたかな、というレベルの人におすすめしたい1冊です。
こと細かく解説されていますので、かなりハイレベルの作曲にも使えるような知識が満載です。
おすすめ読み放題の本
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まとめ
自分で作曲するなんて夢みたい、という方も、作曲はノウハウさえ知っていれば誰にでもできるのです。
特にコード進行に関しては、王道のものがありますので、好きなアーティストの曲のコードつき楽譜を見て勉強するのもひとつの手です。
ちなみに、コード進行には著作権はありません。(2018年の情報ですが、今後もおそらくコード進行には著作権は発生しないと思われます。コード進行に著作権を発生させると新たな曲が作れなくなるため)
著作権などが厳しくなっている昨今、自分で作った曲ならば、誰からも何も言われず、いつでもどこでも好きに演奏する事ができます。
なによりも世界でひとつだけの大切な1曲が生み出されるその瞬間の喜びは、他では得られない大きなものです。
ぜひ、作曲にチャレンジして、あなたの可能性を開花させましょう。
以上「【簡単作曲法】ピアノ初心者でも簡単に作曲できるコード進行やコツ」でした。