ゆっくり本の世界に浸りたい、と思うことはありませんか。
とくに不思議な世界観を持っている本、現実離れしたストーリーには、ぐっと引き寄せられる為、日常を忘れた非日常の世界に浸ることができます。
そんな不思議な気分になる本、なおかつ面白くてどんどん読み進められる本を紹介していきます。
不思議な世界観の本に魅了されよう
読んでいるうちに何だか不思議な気分になる本は、日常の世界を離れ、ストレスを忘れさせてくれるのでオススメです。
ミステリー、ファンタジー、ホラーなど、不思議なストーリー展開に興奮して、次々とページをめくってしまう体験をしてみて下さい。
今回はそんな不思議な世界観を持つ本、思わず本の世界に入り込み魅了される、面白い本を紹介します。
1Q84|村上春樹
ベストセラー作家として世界で有名な作家、村上春樹。
多くの村上作品は不思議な世界観を持っているのですが、この1Q84は特にミステリー要素が強く、先が気になる展開となっています。
タイトルは、英国の作家ジョージ・オーウェルの代表作である「1984年」から来ており、個性的なキャラクターたちが魅力的です。
この小説の世界では二つの月が浮かんでおり、青豆と天吾という二人の主人公は、あることをきっかけにしてその不思議な世界へ迷い込んでしまいます。
二人の語り口によってスピーディーに展開していく摩訶不思議な世界に、あなたも虜になるでしょう。
わたしを離さないで|カズオ・イシグロ
2017年にノーベル文学賞を受賞したことで有名な、英国作家カズオ・イシグロの名作です。
舞台は1990年代末のイギリス。
主人公のキャシーたちがいる寄宿学校は、明らかに秘密を抱え、ある目的の元に子供達に偏った教育を受けさせています。
そのことに徐々に気がついていく主人公のキャシーを含めた登場人物たち。
この物語の軸となる大きな秘密は、このまま化学や医療が進歩し続けた場合、考えられないことではない未来なのかもしれません。
読者はそのことについて深く考えさせられ、衝撃のラストへと読み進めます。
新世界より|貴志祐介
数々のミステリーやホラー小説で評価を得ている貴志祐介の作品。
ストーリーは、念動力を持った人類の1000年後の話。
科学文明はとうの昔に消滅しており、奇怪な動植物がうようよしている中、人々は念動力を使って生活しています。
ファンタジー、ミステリー、ヒューマンドラマ、あらゆる要素を詰め込んだ奇跡のストーリー展開に、一気読みしてしまう作品です。
麦の海に沈む果実|恩田陸
「三月以外の転校生は破滅をもたらす」と言われている全寮制の学園。
生徒を集めて交霊会を開く校長や、図書館から消えた曰く付きの本。
2月に転校してきた主人公の理瀬の心は揺らめきながら、この「三月の国」の秘密を探っていきます。
ファンタジーと現実の中間のような不思議なストーリーに、ページをめくる手が止まらない一冊です。
しゃばけ|畠中恵
江戸時代、体も弱く外出もままならない一太郎は、目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃します。
それ以来続く猟奇的殺人事件に、家族同然の妖怪たちと、なんとか解決に乗り出すというストーリー。
妖怪たちの個性的で優しいキャラクターと、一太郎の可愛らしさにほっこりする人も多いでしょう。
だれかさんの悪夢|星新一
人間の欲望や夢は、限りなく存在します。
けれどそれが実際に実現したら、どんな世界が待っているのか。
不思議な世界観といえばこの人、星新一の傑作ショートストーリーです。
短い話が詰まっている本ですが、ぞくっとする内容、読んだ後に余韻を残す内容もたっぷり。
皮肉が効いているエンディングに、「お気の毒」と感じる人も多いかもしれませんね。
変身|フランツ・カフカ
セールスマンの主人公は、ある朝ベッドで目覚めると、自分が巨大な虫になっていることに気がつきます。
この唐突な始まりにドキッとして、先が気になってどんどん読み進めてしまうストーリー展開。
毒虫となった息子に対して、父親や家族がだんだんと疎ましく感じていく姿、日常を通しての感情の揺れを見事に描き出しており、最後には衝撃の結末を迎えます。
ユニークで非現実的な設定であるにもかかわらず、読んでいてどこか自分と重ねてしまい、ヒヤリとさせられる一冊です。
砂の女|安部公房
昆虫採集に出かけた男が、新種のハンミョウを追い求めて砂丘へとたどり着き、穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められてしまいます。
そこには一人の女がいて、家を砂から守るためにと男を引きとめようとします。
この作品は海外での評価が非常に高く、20数ヶ国語に翻訳され、今もなお世界中で読まれている安部公房の名作です。
夜は短し歩けよ乙女|森見登美彦
京都を舞台に、黒髪で天然キャラの乙女と、彼女に想いを寄せている先輩。
二人を待ち受ける珍事件の数々に、ハラハラしながら感情豊かに読み進められます。
恋愛ファンタジーの傑作と言われており、情緒あふれる夜の京都を歩きたくなる一冊です。
粘膜蜥蜴|飴村行
蜥蜴(トカゲ)人が人間と共存しているこの世界では、続々と奇怪な生物に遭遇します。
グロテスクなシーンもあるのに、妙に人情を感じさせる不思議な世界観。
最後にはあっと驚く結末が待っており、トカゲ人である富蔵が抱えてきた秘密、人間に尽くす姿に、思わず涙すること間違いなし。
奇妙な設定であるにもかかわらず、ここまでクオリティーの高いミステリーに仕上げている筆力に、思わず圧巻の作品です。
クラバート|オットフリート・プロイスラー
ドイツに伝わる伝記を元に作られた物語。
児童書でありながら、そのダークな世界と、読み終わると考えさせられる内容に、誰もが引き込まれてしまいます。
宮崎駿はこの本に影響を受けて、「千と千尋の神隠し」を書いたと言われています。
魔法使いが3年間の修行をする姿、周囲のキャラクターが生き生きと描かれており、面白く読むことができるでしょう。
南から来た男|ロアルド・ダール
主人公の私は、バカンスで訪れたジャマイカのビーチで、小柄な老人と若い男に出会います。
男の持っているライターを使った奇妙な賭け。
イギリスの短編作家が描き出す、ユニークでダークなストーリー。
最後にはあっと驚く展開が待っています。
赤朽葉家の伝説|桜庭一樹
千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもない、私。
1953年から50年、女三代の語り手によって繰り広げられる、鮮やかで不思議な世界。
今は失われた美しい昔の風景や、出てくるキャラクターのカッコよさ、奥深い魅力に、どんどん引き込まれて読むことができます。
リレキショ|中村航
「姉さん」に拾われて「半沢良」になった僕は、ある日届いた招待状をきっかけに、日常とは違う世界へと迷い込んでしまいます。
物語の中では、常に不思議な感覚が付きまとい、それでいて優しい気持ちにさせてくれる奇妙なストーリー。
最後には読んでよかったと思える作品です。
となり町戦争|三崎亜記
ある日突然、となり町との戦争が始まったことを知る「僕」。
けれどその戦争は、銃声も聞こえなければ目に見える流血もなく、見た目には平穏そのもの。
ところがある日、政府から任命書が届き、「僕」は見えない戦争に巻き込まれていきます。
戦争に加担していないと自分は言い切れるのか。そう考えさせられる作品です。
精霊の守り人|上橋菜穂子
上橋菜穂子による異世界ファンタジー「守り人シリーズ」の傑作です。
児童文学として出版されましたが、その内容の面白さに、大人にも大人気の本作品。
目に見える世界と目に見えない世界、二つの世界と呪術を巡るストーリー展開に引き込まれ、一気に読み進めてしまいます。
はてしない物語|ミヒャエル・エンデ
あの有名な映画「ネバーエンディングストーリー」の原作である本作品。
原作でも独特の世界観、ファンタジーエンターテイメントがキラリと光り、楽しくワクワクしながら読むことができます。
空想することの大切さ、感情を持つことの素晴らしさを、改めて感じさせてくれる一冊です。
夏への扉|ロバート・A・ハインライン
恋人、友人と思っていた相手に裏切られ、職も失ってしまった主人公。
タイムスリップすることことで、失った何かを取り戻し、新たに人生を始めることを試みます。
主人公にとって大切な役割を果たす、猫の存在がとても魅力的です。
自分も新しい「扉」を開きたくなる、そんな一冊です。
家守奇譚|梨木香歩
特に大きな事件が起こるわけでもないのに、日常を描き出す中で不思議な感覚がジワジワと迫ってくる作品です。
幽霊や妖怪が登場しますが、ホラーとして怖くなる小説ではなく、むしろユーモラスでほんわかとした気持ちにさせてくれます。
売れない文筆業の綿貫征四郎が、家守を頼まれたことから様々な不思議に遭遇。
その中で次々と起こる出来事が積み重なって、独特で奇妙な世界を作り出しているのです。
ナミヤ雑貨店の奇蹟|東野圭吾
次々とミステリーを出版するベストセラー作家、東野圭吾の作品とは思えないほど、ほっこりとした気分になれるこの作品。
ナミヤ雑貨店は、かつて悩み相談を請け負っていた古い家。
悩めるキャラクターたちを救うため、時空を超えて交わされる、温かな手紙交換。
最後に真実が明らかになった時、そこには深い感動と驚きがあるのです。
ドグラ・マグラ|夢野久作
この本を読んだ人は混乱し、数時間以内に一度は精神に異常をきたす、などと言われている作品。
「ドグラ・マグラ」の舞台は、大正15年頃の九州帝国大学医学部精神病科。
奇妙で不可解なストーリー、独特の世界観に、おびえながら読む人も多いかもしれません。
あなたの精神に異常をきたすかどうか、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
十二国記|小野不由美
アニメ化されていることでも知られている、小野不由美による壮大なファンタジー「十二国記」。
古代中国思想を基盤とした、引き込まれる異世界ファンタジーの世界です。
文化、政治形態は古代中国に類似しており、絶対的王政。王、それに並ぶ麒麟、天意とは何か。
それが作品全体の主題となっています。
複雑な展開ながらも非常に分かりやすく説明され、常に新作を待望されている人気作品です。
帰ってきたヒトラー|ティムール・ヴェルメシュ
現代のドイツにヒトラーがタイムスリップしたら、という設定の風刺小説。
ドイツではベストセラーになり、映画化もされています。
ヒトラーに対する数々の肯定的な描写に物議を醸したけれど、それがかえって引き寄せられる展開となっています。
ヒトラーを単純に悪魔化するのではなく、リアルな姿を描くことで、よりその危険性が表現されていると感じられます。
満願|米澤穂信
交番勤務の警官、海外のビジネスマン、フリーライターなど、様々な立場に置かれた主人公が遭遇する、6つのストーリーから成る短編集。
短編集でありながら、ミステリーとして素晴らしいクオリティーを保った一つ一つの話に、思わず引き込まれて一気に読んでしまいます。
早く続きが読みたい、でも読み終わるのがもったいない、と思うような一冊です。
向日葵の咲かない夏|道尾秀介
小学生の僕、ミチオは、欠席したクラスメイトのSくんの家にプリントを届けに行き、そこでSくんが首を吊って死んでいるのを目撃します。
ところがその後、死体は忽然と消えていて、Sくんは思いも寄らない姿でミチオの前に再び現れます。
ミチオとSくん、そして妹のミカにより、殺人事件の解決に乗り出すのですが、そこには不思議で、狂った世界が待ち受けているのです。
ラストには、読者の予想を大きく裏切る秘密が隠されており、「そうだったのか」と唸りたくなる、傑作ミステリー作品です。
雪沼とその周辺|堀江敏幸
時代の波に取り残されても、使い慣れた旧式の道具と血を通わすようにして生きる、雪沼の人々。
美しい文章で描かれる、山あいの寂れた町で織りなされるエンターテイメント。
読み終わった時、なんとも言えない不思議な感覚、哀愁を感じられる作品です
夜明けの縁をさ迷う人々|小川洋子
世界の片隅でひっそりと生きる、風変わりな人々をめぐる短編集です。
河川敷で逆立ちの練習をする曲芸師、エレベーターで生まれ育つE.B.、涙を売る女性、銀山に不思議な男。
奇妙なキャラクターたちに誘われ、この上なく不思議な世界へと旅してみませんか。
ショートショートの宝箱: 短くて不思議な30の物語 |光文社文庫
最後は、一話5分程度で読むことができるショートストーリーが30話まとまっている本です。
多くの作家の不思議な物語をたくさん読みたい人にはとても良いのではないでしょうか。
まとめ
不思議な世界に触れてみたい、読んだことのない世界に足を踏み入れたいと思う人は、ぜひ今日から読み始めてみてはどうでしょうか。
自分好みの不思議な本を読むことで、さらにあなたの世界が広がることでしょう。
読み終わった時、そこはすでに日常から離れた、不思議な世界かもしれません。
以上「【不思議な世界観の本】不思議な気分になるおすすめの本28選」でした。