能力があるのに成功に結び付かない。
皆さんはそんな人を見たことはないでしょうか。いや、自分がそんな人だと感じたことはないでしょうか。
知識があり、思考能力も高いのに、なぜか実際にその知識を生かせない。
スポーツにおいても、運動能力は高いのに、なぜか技術の上達が遅い。
もちろんそれには様々な原因が考えられますが、実は、客観的に自分を見る能力が劣っているのかもしれません。
客観的に考えるということ
まず、客観的でないというのは、つまり主観的であるということです。
主観的なものの見方は悪い?
客観的にものが見れない、つまり主観的にみてしまうというのは、別に悪いことではありません。
たとえば、あなたが映画を見るとします。
その時、主観的な視点でその映画を見れば、あなたは主人公になり切って、最初から最後までハラハラドキドキと楽しむことができるでしょう。
同じように、美しい景色を見て感動したり、かわいい小物にきゅんとするのも、主観です。
この時、もしそれらを客観的に見ていたら、これは途端につまらなくなってしまうのです。
たとえば、面白い映画を見ながら「ああ、このシリーズだと大体ここで一人死ぬよな。ほら、死んだ」と、分析的に見ることになってしまいます。
美しい景色を見て「これは太陽光の加減で…」とか、かわいい小物を見て「このデザイナーはだいたいこんな感じ」と客観的に見ては、良さは半減です。
何も主観的見るというのは悪いことではなく、人生の色どりを考えれば必要なものなのです。
主観的に“しか”見れないのが良くない
問題は、主観的に見ることではなく、常に主観的な見方をしてしまうということです。
どんな状態においても客観的に物事をとらえることができないと、あらゆる場面で不利になってしまうのです。
たとえば、何かのプロジェクトがうまくいかない時に主観的にしか考えられない人は次のように感じて悩んでしまうでしょう。
「わたしはこんなにがんばってるのに!」と。
しかし、これが客観的にものを見ることができる人ならば、自分の行動を冷静かつ大きく見ることができるため「何が悪かったのか、なぜ頑張りが反映されないのか」が見えてくるのです。
これが客観的に見ることができる人とできない人の差です。
スポーツが上達しないことを練習量不足や根性が足りない、とだけ考えてがむしゃらに走り続けたり、失恋から立ち直るためにただただ涙が枯れて感情が切り替わるまで泣くしかないのも同じ。
つまり、一般的に「容量が悪い」という状態に陥ってしまうわけです。
客観的に考えることによるメリット
- あがり症克服
- 感情に左右されない
- 問題の根本を理解できる
- 効率の良い方法を考えられる
- ゲーム上達速度が上がる
- 試合や大会などの本番に強くなる
- ビジネスで儲けることができる
自分を客観的にみることができるようになると様々なメリットがあるでしょう。
あがり症を克服できたり、感情に左右されなくなったり、問題の根本を理解できるようになったり、効率の良い勉強法やトレーニング方法・訓練方法を考えることができるようにもなるはずです。
客観的に考えることが出来るようになる訓練方法
では、客観的にものを見るためにはどんな訓練をすればいいのでしょうか。
訓練方法をいくつか考えてみたので紹介します。
ものを見て考える癖をつける(分析する)
まずは考える癖を磨くことが大切です。
たとえばあなたの目の前にコップがあるとします。
それはあなたが普段から使っている見慣れたコップで、これといってそれに対しては何の感動もなく、また、新しい発見などありそうもないコップです。
しかし、それをただの背景として見過ごすのではなく、それをもとに、そのコップについて考えてみてください。
たとえば、原材料について考えるとか、使用目的について考えるとか、もしくは、これを売ったらいくらになるのかを考えるなど、普段は考えもしないことです。
ほかにも、通いなれている道の交通標識について考えたり、同僚のメイクについて考えたり。
一見ばかばかしいともおもえるような、そんな癖をつけるのです。
これは、実は客観的にものを見る上で一番大切で、それができない人に一番足りていないものなのです。
まずはこのようにして思考力をつけて分析してみて下さい。
感情を分析する(客観的視点)
様々なことに対して、いろいろ考える癖がついてきたら、次はそれを自分の感情に向けてみましょう。
たとえば「今日は帰りに一杯飲みたい」とあなたが思ったときに、次に考えるのは「どこで何を飲むか」ではなく「なぜ私は今一杯飲みたいと思ったのだろう」に変えていくのです。
するといろいろなことが見えてきます。
たとえば、今日は仕事でいい結果が出せたから、気持ちよさそうなほろ酔いの人を見たから、最近テレビでおいしいお酒特集やっていたから、などが思いつくでしょう。
毎日その考え方を繰り返していると、自分の行動のもっと深いところまでわかるようになるはずです。
つまり、これが感情の分析であり、これこそが、客観的視点といわれるものです。
自分にとって一番「主観的」な部分である感情を、まるでだれか第三者がそれを分析するように自分自身で考えるのです。
客観的視点を外に広げていく(俯瞰的視点)
次は、その分析を自分以外にどんどんと広げていきます。
たとえば、部長が朝から怒鳴り散らしているとき「部長が怒っている、いやだな」ではなく「なぜ今部長は怒っているのだろう」と分析するのです。
そしてこの分析を、どんどん外向きにひろげていくのです。
たとえば、道が渋滞しているときに「渋滞していていやだな」ではなく「なぜ渋滞しているのか」について考える。
テレビのニュースを見て政治についてコメンテーターのいうことを感情的にとらえるのではなく「なぜこのコメンテーターはこういう意見を持っているのか」について考える。
地球環境について、戦争について、平和について、人間というものについて、生きるという意味について、などあらゆることの理由を考えて下さい。
一見、政治学や経済学、哲学のような難しいことにも思えますが、実はそんなに難しいことではありません。
何も答えを出せというわけでもなく、高尚な考え方を求めているのでもないのです。
そうではなく、こうして世の中を大きく上から見るような考え方こそ、客観的ものの見方を完全にする上で大切な「俯瞰的にものを見る」というものだからです。
客観的な自分とは
俯瞰でものを見るというのは、上から自分の世界を眺めるということです。
そうすると、見えてくるのは社会の中に存在する自分という存在の客観的な立ち位置です。
たとえば渋滞であるならば、自分がそれをどれくらい悪化させる存在なのかがわかります。
政治や世界的な問題についてもそうです。
俯瞰的に遠くから見ることで、実は何の関係もないと思っていた政治問題や世界の問題に自分という存在がどうかかわっているのかが見えてくるでしょう。
問題の根本を理解できるようになる
例として、仕事のプロジェクトで考えてみましょう。
プロジェクトは、本当にうまくいっていません。
しかも、手を抜いているわけではなく一生懸命頑張っているにもかかわらず、うまくいかないのです。
前にも書いたように、主観的な見方しかできないと「なんで努力してるのに」になってしまいます。
しかし、ここで、俯瞰的にこのプロジェクトを見ることができて、そのプロジェクトの中であなたがどういう立ち位置に存在していて、求められているのはどういう動きなのかがみえたとします。
今までとは違った解決方法が見えてくるはずです。
問題を解決できるようになる
こうなってくると、もうあとは簡単です。
あなたは、自分の感情もその存在も、客観的に判断して、その状態を把握することができるでしょう。
あなたがそのプロジェクトの中で積み重ねてきた努力が、実は、プロジェクト全体の方向性とは全く違う方向の努力であったことに気づくかもしれません。
それこそ、プロジェクト全体を俯瞰で見えているあなたには、そのプロジェクト自体が最初から間違えていることにさえ気づいてくるかもしれないのです。
そして、そんな状況の中で、自分はどう動くべきか、きっと見えてくるはずです。
このプロジェクトの中で自分がどう動くことが一番その進展につながるのか、どの方向に向けて動くのが一番効率的なのか、手に取るようにわかるのです。
後は、その見えてきた筋道に従って、自分を客観的に動かしていけば良いのです。
まるで自分という駒を使って囲碁や将棋をするように、RPGの勇者を動かすように行動させれば良いだけなのです。
感情に振り回されないようになる
客観的視点に基づく行動をとれるようになると、感情に振り回されることもなくなります。
感情に振り回され、全体の流れを把握できず、ただがむしゃらに努力するだけだった「主観的視点に基づく行動」とは、まったく違うものであることは、もはや言うまでもないですよね。
客観的に行動できれば、普段の生活、仕事、スポーツ、ゲームまでも上達しやすくなると断言できます。
まとめ
今回は客観的なものの見方の鍛え方について紹介しました。
しかし、最初にも書いたように、主観的な考え方が悪いというわけではありません。
逆に客観的なものの見方しかできない人は非常につまらないものなのです。
この世に一つしかないあなたのあなただけの人生、主役はもちろんあなたです。
つまり、大切なのは、自分を客観的にみることではなく、主観的な視点と客観的な視点を使い分けることなのです。
一見難しそうに思えますが、それについては安心してください。
じつは、客観的視点を持って物事を俯瞰で見るというスキルを身につけていると、この主観と客観の切換場所もちゃんとわかるはずなのです。
きちんとした客観的なものの見方を手に入れて、主観と客観のバランスのとれた楽しい人生を手に入れてください。
以上「自分を客観的にみる方法・訓練方法!仕事・スポーツ・ゲーム上達」でした。